モジュールとしてのBC(ベーシス)
BC(ベーシス)とはSAPが提供しているERPパッケージのミドルウェアでアプリケーションの基盤部分を指します。BCはBasisの省略です。
ベーシスモジュールはSAPには欠かせない存在です。
他のアプリケーションとは異なり、OS上に直接アプリをインストールするのではありません。
まず、OS上にベーシスというミドルウェアを構築し基盤を作ってから、基盤上でアプリを動作させるという特殊な構造です。
ベーシスをインストールすることでひと手間はたしかにかかってしまいます。
それでもベーシスというミドルウェアがあることで、インフラレイヤーのOSやデータベースなどの環境差異があってもアプリの動作に与える影響を最小限に留めることができます。
他の環境とも擬似的に同一環境にすることでアプリ開発が円滑にできるポイントがSAPの強みです。
BasisからNetWeaverへ名称変更
ちなみにBasisというのはSAP R/3時代に使われていた言葉です。
2000年には「SAP Web Application Server」に名称変更しました。
2004年からは「SAP NetWeaver」にとなっており、Netweaver2004やNetweaver7.0などのバージョンがあります。
各アプリを結合するミドルウェアとして「SAP NetWeaver Application Server」という名称が適用されました。
このNetWeaverはネットワークを編む人の意味で、NetとWeaverという単語由来です。
アプリケーションとインフラを繋ぐ役割のミドルウェアを表現しているのでしょう。
BC(ベーシス)の業務内容・役割
ベーシスの役割は主に移送管理やデータベース管理、ユーザ管理などが挙げられます。
ただ、ベーシスはミドルウェアの部分でありアプリ担当者と作業したり、インフラ担当と作業したりと作業内容は多岐にわたります。
システム管理者としてのベーシス
- サーバー負荷分散管理
- インスタンス(サーバー)管理
- サーバのパフォーマンス分析
- システム設定
- システムやサーバの起動および停止などメンテナンス
データベース管理者としてのベーシス
- ログ・ファイルバックアップ
- データリカバリ
- データアーカイブ
- リソース監視
- データベース・パフォーマンス最適化
スプール管理者としてのベーシス
- 出力デバイス管理(出力設定)
- スプールサーバランドスケープの設定
- スプールジョブ管理
バックグラウンド管理者としてのベーシス
- バックグラウンドジョブの設定・管理
- バッググラウンドジョブの監視
- エラーの監視・修正
カスタマイジングプロジェクト管理者としてのベーシス
- カスタマイジングの設定・定義
- プロジェクト範囲の定義
- カスタマイジングタスク
- プロジェクトへのリソースの割当
- プロジェクト進捗管理
- 移送/修正システムでのスケジューリング
IDoc管理者としてのベーシス
- パートナプロファイル・ポートのアップデート
- データベース・アーカイブにおける IDoc管理
- 未処理 IDoc ファイル監視
ALE管理者としてのベーシス
- モニタ・ワークフローのALE 配信監視
- 送信システムへの確認送信
- 変更ポインタ確認
- カスタマイジングデータの同期化
- IDocシリアル処理
移送管理者としてのベーシス
- システムランドスケープの定義設定
- SAPソフトウェアインポート・アップデート
- 移送依頼のインポート
- 移送の承認
- 移送ドメインの監視
- 移送のチェック・修正
- 移送依頼の内容のシステム影響分析・評価
ユーザ・権限管理者としてのベーシス
- ユーザマスタレコードの更新
- ユーザへの権限ロールの割当
- ユーザへの役割ごとのプロファイル割当
- 権限およびプロファイル照会
- ユーザ情報システム使用
- ロールデータの照会または変更
- ロール紹介・更新
- 権限プロファイルの有効化・無効化
BC(ベーシス)がよく使うトランザクションコード(T-code)
クライアント関連
- SCC1 同一インスタンス内での移送依頼のインポート
- SCC2 クライアントコピーのログ
- SCC4 クライアント管理
- SCC5 クライアント削除
- SCC9 リモートクライアントコピー
- SCCL ローカルクライアントコピー
移送関連
- STMS 移送管理システム
- SE01 移送オーガナイザ(拡張)
- SE03 移送オブジェクト検索
- SE09 ユーザ別の移送
監視関連
- ST01 システムトレース
- ST02 調整バッファサマリ
- ST03N システムワークロード統計
- ST04 DBパフォーマンス分析
- ST05 SQLトレース
- ST06 OSモニタ
- ST07 アプリケーションモニタ
- ST10 テーブル呼出統計
- ST20 Dynproトレース
- ST22 ABAPダンプ分析
- STAD ワークロードモニタ(トランザクション分析)
- SE30 ABAP実行時間分析
- DB02 テーブル索引パフォーマンス
- SM04 ログオンユーザ一覧
- SM21 システムログ
- SM37 ジョブログ
- SM50 プロセス一覧
- SM51 サーバ一覧
- SM66 システムワイドワークプロセス一覧
- AL08 インスタンス内の全ログオンユーザ一覧
- RZ01 ジョブスケジューリングモニタ
- RZ20 CCMS監視
- SM13 更新レコード管理
アプリケーション関連
- SLG0 アプリケーションログ: Object 管理
- SLG1 アプリケーションログ: ログ照会
- SLG2 アプリケーションログ: ログ削除
- SLGN アプリケーションログ: 番号範囲更新
ユーザマスタ関連
- S_ALR_87101194 標準ユーザパスワードのチェック
- S_ALR_87101199 ユーザマスタレコード数
- S_ALR_87101200 ユーザ一覧
- S_ALR_87101201 現有効ユーザ一覧
- S_ALR_87101202 初期パスワードが設定されているユーザ
- S_ALR_87101206 ABAP 権限のあるユーザ
- S_ALR_87101207 CTS を使用できるユーザ
- S_ALR_87101211 RFC 機能を実行できるユーザ
- S_ALR_87101321 ユーザ/プロファイル別権限設定 Object
- S_BCE_68001393 アドレスデータ別ユーザ
- S_BCE_68002111 重要な権限を持つユーザ
- S_BCE_68002311 ユーザの変更文書
- S_PH0_48000109 ユーザマスタデータ比較
- S_BCE_68001439 ユーザマスタの変更履歴
その他
- SM01 トランザクションロック
- SM38 キュー管理
- STVARV バリアント変数管理
- AL11 SAPディレクトリ
- SM59 RFC宛先
- SM69 外部コマンド
- DB26 DBプロファイルパラメータ
- SP01 スプール
- SPAD スプール関連情報管理
- SE73 フォント管理
- SM36 ジョブ登録
- SM64 システムイベントのトリガ
- SARE アーカイブエクスプローラ
- SM12 ロック制御
- SP11 TemSe一覧
- SP12 TemSe管理
- SBPT_WB ウィザードビルダ
- SCU0 / OY19 テーブル比較