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SAP過去問 (SAP Exam)

【SAP】MIGOの関連テーブル一覧とデータ取得のポイント

MIGOはSAP ERPにおける購買や在庫管理などのプロセスで頻出する重要トランザクションであり、在庫移動や入出庫の実績が記録される。以下では、MIGOと関連が深いテーブルを一覧で整理し、それぞれの用途とデータ取得のポイントを詳しく解説する。各テーブルがどのように連携しているかを理解し、必要なデータを効率的に抽出するためのコツを示す。さらに、MIGO周辺の代表的なBAPIやレポートプログラムの活用方法や注意点、トラブルシューティングのヒントなどもまとめる。

MIGOとマテリアルドキュメントの関係

MIGOは在庫取引(入庫、出庫、移動、返品など)を登録・更新する統合トランザクションである。以前のバージョンではMB01、MB1A、MB1B、MB1Cなど複数のトランザクションに分割されていたが、MIGOが登場したことにより統合的に操作できるようになった。MIGOで行った在庫移動データは「マテリアルドキュメント(Material Document)」として保存される。

  • マテリアルドキュメント(Material Document)
    一連の在庫移動が確定すると、ヘッダ情報と明細情報がそれぞれテーブルに登録される。ヘッダ部には日付や参照伝票番号、ユーザ情報が含まれ、明細部には移動タイプやロット番号、在庫数量などの詳細が含まれる。
  • マテリアルドキュメントと会計ドキュメント
    在庫移動が会計的な影響(在庫評価額の増減など)を与える場合、同時に会計ドキュメントも発行される。会計ドキュメントは会計関連テーブルで管理され、MIGOと連動してFIのトランザクションにも影響する。
  • MIGO画面の基本構造
    画面上の「ヘッダ」「明細」「数量」「会計伝票」などのタブが、SAP内部では複数のテーブルにまたがってデータ管理されている。画面上で参照できるマテリアル番号、プラント、ストレージロケーションなどは、テーブル内でもキー項目となっている。

MIGOに関連する主要テーブル一覧

MIGOによって作成・更新されるテーブルは数多く存在するが、その中でも頻繁に参照する主要テーブルを以下に示す。実装やレポート作成の際に把握しておくとスムーズに開発・運用が進む。ここではテーブルの簡単な説明と、キー項目・主な利用用途をまとめた。

テーブル名テーブルの概要主なキー項目主な用途
MKPFマテリアルドキュメントのヘッダ情報 (Material Document Header)MANDT, MBLNR, MJAHRMIGOや他の在庫移動トランザクションで作成されるヘッダ情報を管理。在庫移動の発生日や参照伝票などを確認可能。
MSEGマテリアルドキュメントの明細情報 (Material Document Segment)MANDT, MBLNR, MJAHR, ZEILEマテリアル番号や数量、移動タイプなどの詳細明細が格納される。レポート開発時によく参照する重要テーブル。
RBKP請求書伝票のヘッダ情報 (Invoice Document Header)MANDT, BELNR, GJAHR, BUZEI仕入先請求書のヘッダ管理テーブル。MIGOによる受入から請求書処理への流れを追跡するときに参照する場合あり。
RSEG請求書伝票の明細情報 (Invoice Document Item)MANDT, BELNR, GJAHR, BUZEI仕入先請求書の明細管理テーブル。MIGOの後に行われる請求書照合のデータと連携して確認することが多い。
EKBE購買履歴 (History per Purchasing Document)MANDT, EBELN, EBELP, VGABE購買伝票ごとの受入・請求・返品などの履歴を格納。MIGO(入庫)やMIRO(請求書照合)が購買伝票ごとにどう登録されているかを把握可能。
MBEWマテリアルの在庫評価 (Valuation Data)MANDT, MATNR, BWKEYマテリアルの評価価格や在庫評価クラスなどを管理。MIGOで会計に反映される金額の算定で参照される。
MBEW_H在庫評価の履歴テーブル (Valuation History)MANDT, MATNR, BWKEY, LFGJA在庫評価のヒストリ情報を管理。過去の在庫評価額をレポートするときに必要となる。
MBXHマテリアルドキュメントのヘッダ履歴 (Doc. Header: History)MANDT, MBLNR, MJAHRMKPFの履歴管理テーブル。監査やトレーサビリティで変更履歴を確認する際に役立つ。
MBXYマテリアルドキュメントの明細履歴 (Doc. Item: History)MANDT, MBLNR, MJAHR, ZEILEMSEGの履歴管理テーブル。過去の明細変更やキャンセル履歴を追うときに参考になる。
BKPF会計伝票ヘッダ (Accounting Document Header)MANDT, BELNR, GJAHR, BLART在庫移動による会計への影響(仕訳)が発生した場合、その会計伝票のヘッダを保持。
BSEG会計伝票明細 (Accounting Document Segment)MANDT, BELNR, GJAHR, BUZEI在庫移動による会計勘定科目の増減明細を保持。原価センタや仕入先勘定などとの関連を追跡する際に参照。

データ取得時のポイント

MIGOで作成されるマテリアルドキュメントをはじめとする各種データを取得するときは、以下のポイントを押さえておくとよい。データベースの設計やSAPの標準ロジックを理解しながらクエリを組むことで、パフォーマンスや正確性を担保できる。

  1. ヘッダと明細テーブルの結合
    代表的なのがMKPF(ヘッダ)とMSEG(明細)の結合である。結合条件は「MANDT, MBLNR, MJAHR」が基本。同じクライアント内でマテリアルドキュメント番号(MBLNR)と年度(MJAHR)をもとに関連づける。大量データを扱う場合はインデックスを活用し、必ず主キーを条件に含める。
  2. 伝票番号・移動タイプ別の抽出
    移動タイプ(BWART)を条件とすることで、入庫(101)、出庫(201)、振替(309)など特定の動きだけ抽出できる。伝票番号で絞り込む際は、ユーザが参照する外部の伝票番号(例:購買伝票番号のEBELN)だけでなく、MIGO内部のマテリアルドキュメント番号(MBLNR)で検索する必要があることに注意。
  3. 購買伝票との関連
    MIGOは購買伝票(EKKO/EKPO)をベースに入庫するケースが多い。入庫の実績はEKBEにも書き込まれる。EKBEのVGABE(購買履歴カテゴリ)を参照し、入庫、請求書、返品などの種類を判別可能。入庫(VGABE=1)、請求書(VGABE=2)などをキーにして抽出すれば一連の動きを追跡できる。
  4. 会計ドキュメントとの紐づけ
    在庫移動によって仕訳が発生する場合は、MKPF→BKPF間で「会計伝票番号(BELNR)」「会計年度(GJAHR)」が対応する。BSEGと連結すれば、どの勘定科目がどのコストセンタに対して仕訳されたかなどの詳細が把握できる。FIのレポートや分析を行う際には必須の結合となる。
  5. パフォーマンスとテーブルアクセス
    データ量が多い場合、直接MSEGやMKPFを巨大テーブル結合するのではなく、日付や移動タイプなどの選択条件を細かく指定してアクセス量を抑える。必要に応じてセカンダリインデックスや集計テーブル(LISやBWなど)を利用し、本番稼働環境に負荷をかけすぎないようにする。SAP標準で提供されるビューや構造(MMIM_REP_CUSTなど)がある場合はそちらを活用するのも手。

BAPI/レポートプログラムの活用

MIGOの処理を自動化したり、関連データをレポート出力するときにはSAPが標準提供しているBAPIやレポートプログラムの利用も検討できる。以下に代表的な機能を示す。

  1. BAPI_GOODSMVT_CREATE
    物料移動(マテリアルドキュメント)を作成するBAPI。内部的にMIGOで行う処理と同等のロジックを経由し、在庫や会計伝票も同時に更新される。大量の物料移動をカスタムプログラムから一括登録したい場合に有用。引数として移動タイプやマテリアル番号、プラント、数量などを設定し、Commit Workを呼び出すことで確定する。
  2. BAPI_GOODSMVT_GETITEMS
    物料移動アイテムの詳細を取得するBAPI。MSEGテーブルを直接読み込むかわりに、標準ロジックを通してデータを取得できる。大量のデータを扱う際は、パフォーマンスを考慮して適切なフィルタ条件を設定する必要がある。
  3. MB5B (Stock on Posting Date)
    在庫残高と在庫移動を一覧表示する標準レポート。任意の期間にわたって在庫の増減を確認でき、どのマテリアルドキュメントで入出庫が行われたか把握しやすい。MIGOデータの検証や監査で活用されることが多い。
  4. MB51 (Material Document List)
    指定したマテリアルやプラント、移動タイプなどの条件に合致するマテリアルドキュメントを一覧表示する標準レポート。MIGOによって登録されたドキュメントを直接参照する用途でしばしば使用される。
  5. MB52 (List of Warehouse Stocks on Hand)
    倉庫における在庫を一覧表示する標準レポート。MIGOの移動後の数量をチェックしたい場合に有用。特にプラントやストレージロケーションごとの在庫比較を行いたい場合に活用できる。

テーブル更新のタイミングとトランザクションコントロール

MIGOでの在庫移動は基本的にユーザが画面上で数量やロケーションを入力し、「伝票を収録(または検証・転記)」することでデータベースに反映される。このとき、以下のステップで複数のテーブルが更新されるため、レポートやカスタムプログラムで同時読みをするときには注意を要する。

  1. 伝票入力~検証
    ユーザが移動タイプや数量、ロット番号などを入力。検証段階では一時的にバッファへ保持され、本保存前にはテーブル更新が行われない。
  2. 伝票転記(POST)
    POSTボタンなどで伝票を転記すると、MKPF(ヘッダ)とMSEG(明細)が同時に更新される。在庫や評価額に変更がある場合は、同タイミングでBKPF/BSEGなどの会計テーブルが生成・更新される。
  3. コミットワークとロックオブジェクト
    ABAP内部ではコミットワーク命令(COMMIT WORK)が実行されることでデータの更新が確定し、ロックが解除される。大量データの一括処理時は、コミット間隔を適切に設定し、ロック競合を回避しながらパフォーマンスを最適化する。
  4. 逆転記(リバース)
    誤登録や後から判明した不備に対しては、逆伝票を起票して取り消すことが可能。取り消しによって、MKPF/MSEGにキャンセルレコードが追加される。会計伝票側もリバースが発生し、財務会計に影響が出る場合があるため注意が必要。

トラブルシューティング・よくある課題

MIGOを通じて行われる在庫移動のデータ取得では、下記のようなトラブルや課題がよく発生する。原因と対策を把握しておくと、問題解決がスムーズになる。

  1. テーブル間の不整合
    稀にアプリケーションエラーやトランザクションの中断により、MKPFとMSEGの件数が合わない、あるいはBSEGに仕訳が反映されていないなどの不整合が生じる。SAP標準の再集計プログラム(例:MBRL再集計プログラムなど)を実行するか、OSSノート(公式サポート情報)を参照して修復手段を確認する。
  2. 年度をまたいだ在庫評価のズレ
    MJAHR(年度)が変わるタイミングで在庫評価額が繰り越され、MBEWや会計伝票上の金額に差異が生じるケースがある。年次繰越処理(物理在庫監査や会計監査)で不明な差異が出た場合は、MBEW_HやMBXH/MBXYなどのヒストリテーブルを確認し、いつどのような移動があったかを追跡する必要がある。
  3. パフォーマンスの問題
    大量のデータを一括参照するレポートを開発した際、MSEG等の巨大テーブルにフルスキャンが走り、レスポンスが非常に遅くなる場合がある。適切なインデックスを利用するか、標準レポートや標準BAPIを利用するなどして、不要なデータ取得を極力減らす。
  4. ダンプやロック競合
    同時に多数のユーザがMIGOを操作すると、テーブルレベルでロックが競合し、整合性エラーやタイムアウトが発生することがある。大量アップロードなどバッチ処理の場合は夜間バッチなどに時間を分散させ、ユーザ操作のピークと重ならないようにする配慮が必要。

テーブル参照の具体例:購買発注入庫のシナリオ

実際にMIGOで購買発注を参照し、発注分の在庫を入庫する流れを具体例として示す。購買伝票番号(EBELN)に対してMIGOで入庫処理を行った際に、どのテーブルを参照すれば関連データを取得できるかをステップごとに確認する。

  1. 購買伝票の確認 (EKKO/EKPO → EKBE)
    購買発注EKKO/EKPOにて、どの仕入先からどのマテリアルをいくつ発注したかを確認。EKBEに既存の入庫履歴や請求処理履歴があれば参照できる。
  2. 入庫登録 (MIGO)
    MIGO画面から購買伝票番号(EBELN)を参照してプラント、ストレージロケーション、受入数量などを入力。入庫が確定されると、MKPF(ヘッダ)とMSEG(明細)にレコードが追加される。移動タイプ101(通常入庫)などが記録される。
  3. 在庫数量と評価額の反映 (MBEW / 会計テーブル)
    入庫に伴い在庫数量が増え、必要に応じて評価額や仕訳が更新される。MB52レポートで入庫後の在庫数量の増加を確認可能。会計側はBKPF/BSEGで仕訳が発生しているかをチェックする。
  4. 購買伝票の履歴更新 (EKBE)
    MIGOでの入庫を反映して、EKBEに購買履歴が追加される。VGABE=1(入庫)として伝票番号、入庫数量などが登録される。後日、請求書が入ってきたタイミングでMIROを実行すると、VGABE=2(請求)としてRSEGにも伝票明細が格納される。

このように、単にMIGOに関連するテーブルを見るだけでなく、購買伝票や会計伝票などの幅広いテーブルを関連付けてデータを取得することが多い。エンドユーザからの問い合わせ(「どの注文を何日にどのくらい受け入れたのか確認したい」「在庫評価額と差異が出ている原因を調べたい」など)に対応する際も、これらのテーブルを横断的に検索して実態を把握する流れとなる。

拡張やカスタマイズのポイント

MIGO周辺は標準機能が充実しているが、企業独自のビジネスロジックを組み込むことも少なくない。代表的な拡張箇所を以下に示す。

  1. User ExitやBAdIの活用
    在庫移動の前後に何らかの検証や補助計算をしたい場合は、MM関係のUser ExitやBAdIを利用。例: MB_MIGO_BADI (BAdI for MIGO) などを実装し、独自のフィールドチェックや、移動時の追加ロジックを挿入する。
  2. スクリプトフォーム/SmartForms/Adobe Forms
    マテリアルドキュメントを印刷したい場合に独自のレイアウトや項目を追加。標準フォームにない情報を出力したい際にフォーム用のテーブルを参照し、明細ごとに印字制御を行う。
  3. カスタムテーブルとの連携
    独自拡張したフィールド(例えば社内管理用コードやプロジェクト番号など)をマテリアルドキュメントと一緒に扱いたい場合、カスタムテーブルを作成してMIGO転記時に更新する仕組みを構築する。カスタムテーブルのキー設計をMKPF/MSEGのキー構造とそろえておくと、レポート開発時に結合しやすい。
  4. レポート/分析ツールへの連携
    SAP BWやSAP Analytics CloudなどのBIツールにMIGOデータを連携し、在庫や購買の分析レポートを可視化するケースも増えている。リアルタイム分析が必要な場合はS/4HANAのEmbedded Analyticsを利用し、CDSビューを介してマテリアルドキュメントにアクセスするなどの方法もある。

運用監視と監査対応

企業の在庫データは会計報告や監査法人からのチェックでも重要な対象となる。MIGO関連の監査対応では次のような観点が重視される。

  1. 監査証跡の確保
    いつ、誰が、どのマテリアルに対して、いくつの数量をどのストレージロケーションに入出庫したかを遡って確認できる体制が求められる。SAPではマテリアルドキュメント(MKPF/MSEG)に加え、変更履歴テーブル(CDHDR, CDPOS)や履歴テーブル(MBXH, MBXY)も用意されており、適切に活用することで追跡が可能。
  2. アクセス権限管理
    MIGOは在庫数量や会計に影響を与えるため、権限オブジェクト(M_BEAR, M_MSEG, F_BKPFなど)を適切に設定し、過剰なアクセスや不正な変更を防ぐ必要がある。ロール設計の段階で運用担当者の機能範囲を明確化し、変更やキャンセルができるユーザを厳密に限定しておく。
  3. 定期的な棚卸と突合
    物理的な棚卸結果とシステム上の在庫(マテリアルドキュメントで示される数量)を定期的に照合し、差異があれば原因を究明する。未転記や転記ミスが原因でシステム数量と実物が合わないケースもあるため、棚卸のタイミングでしっかりチェックする。
  4. エビデンスとしてのドキュメント出力
    MIGOで出力したマテリアルドキュメントのPDFや印刷物を証跡として保管する運用ルールを敷いている企業もある。デジタル保管する場合はDMS(ドキュメント管理システム)やSAPアーカイブに連携し、電子帳簿保存法などの法令にも準拠できるよう整備する。

まとめ:MIGOのテーブル構造を正しく把握し、確実なデータ取得を

MIGOは在庫管理の根幹を支えるトランザクションであり、MKPF/MSEGを中心とした関連テーブルへのデータ登録・参照が業務の多方面に影響を与える。テーブルの結合方法やキー項目の構造を理解することで、必要な情報を正確かつ効率的に抽出できるようになる。

  • MIGOにより生成されるマテリアルドキュメントはヘッダ(MKPF)と明細(MSEG)で構成される。
  • 購買伝票や会計伝票との連携テーブル(EKBE, BKPF/BSEG)も押さえ、入庫と請求、仕訳の一連の流れを把握する。
  • 大量データへの対応や監査証跡確保、権限管理など、運用面も考慮したシステム設計が求められる。
  • SAP標準のBAPIやレポートを活用することで、カスタム開発の負荷を軽減しつつ、正確性を保てる。

今後S/4HANAへの移行やクラウド化が進む中でも、MIGOが扱う在庫移動の基本概念自体は大きく変わらない傾向にある。したがって、従来のECC環境でもS/4HANA環境でも、このテーブル構造の理解は長期にわたって有効だ。公式ドキュメントやSAP Communityなどを活用しながら最新情報をフォローし、ビジネス要件に柔軟に対応していくことで、在庫管理や購買業務の安定運用と改善を続けていけるはずである。

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