SAPのバリアントとは?
バリアントとは、プログラムの実行条件を設定した値を管理するオブジェクトのことです。バリアントを使用することで、同じ条件でプログラムを繰り返し実行する際に、事前に設定した値を呼び出すことができます。これにより、繰り返し入力する手間を省き、効率的な作業を実現することができます。
バリアントの目的は、プログラムの実行条件を柔軟に管理することです。例えば、特定の会計年度や会社コードなど、頻繁に変更される値をバリアントとして登録しておくことで、プログラムの実行時にその値を簡単に選択することができます。
SAPのバリアントの種類と特徴
バリアントは、システムバリアントとアプリケーションバリアントの2つの種類に分類されます。それぞれの特徴について解説します。
システムバリアント
システムバリアントは、SAP社が提供するバリアントまたはカスタマが登録したバリアントのことです。システムバリアントは、クライアント非依存オブジェクトとして、クライアント:000に保存されます。ただし、他のクライアントでも登録や変更、照会は可能です。ただし、登録者または最終変更者以外は更新することができません。
システムバリアントは、プログラム全体が移送されると自動的に移送されます。これにより、システムバリアントを別のシステムに移行する際にも手間を省くことができます。
アプリケーションバリアント
アプリケーションバリアントは、SAP社またはカスタマが提供するバリアント以外のバリアントのことです。アプリケーションバリアントは、各クライアントに保存され、各クライアントでしか登録や変更、照会することができません。バリアントを保護したい場合は、個別に設定する必要があります。
アプリケーションバリアントは、プログラム全体が移送されても自動的に移送されません。移送する場合は、別途手動で移送する必要があります。
SAPのバリアントの登録方法
バリアントを登録する方法は、システムバリアントとアプリケーションバリアントで異なります。それぞれの登録方法について解説します。
SAPのシステムバリアントの登録方法
システムバリアントの登録方法は、以下の手順に従います。
- トランザクションコード「SE38」を開きます。
- プログラム名を入力し、「編集」ボタンをクリックします。
- 「バリアント」ボタンをクリックし、「新規作成」を選択します。
- バリアント名を入力し、「保存」ボタンをクリックします。
- バリアントの設定値を入力し、「保存」ボタンをクリックします。
SAPのアプリケーションバリアントの登録方法
アプリケーションバリアントの登録方法は、以下の手順に従います。
- トランザクションコード「SE38」を開きます。
- プログラム名を入力し、「編集」ボタンをクリックします。
- 「バリアント」ボタンをクリックし、「新規作成」を選択します。
- バリアント名を入力し、「保存」ボタンをクリックします。
- 各クライアントで設定するバリアントの値を入力し、「保存」ボタンをクリックします。
SAPのバリアントの利点
バリアントの利点は、以下の3つです。
バリアントの効率化
バリアントを使用することで、プログラムの実行時に頻繁に変更される値を簡単に選択することができます。これにより、手動で値を入力する手間を省き、作業の効率化を図ることができます。
バリアントの再利用性
バリアントは登録しておくことで、同じ条件でプログラムを繰り返し実行する際に再利用することができます。これにより、同じ設定を何度も手動で行う必要がなくなり、作業の効率化を図ることができます。
バリアントの保護
バリアントは登録者または最終変更者以外が変更できないように保護することができます。これにより、誤った設定や不正な変更を防ぐことができます。
SAPのバリアントの応用例
バリアントは様々な場面で活用することができます。以下に具体的な応用例を紹介します。
ジョブ・パラメーターの設定
バリアントを使用することで、ジョブの実行時に動的に設定されるジョブ・パラメーターを簡単に渡すことができます。ジョブ・パラメーターは、ジョブの実行条件を示す変数であり、バリアントを使用することで、繰り返し実行する際のパラメーター設定を効率化することができます。
データ転送のバリアント利用
RFCデータ転送方式やFTPデータ転送方式を使用するABAPプログラムの場合、バリアントを使用することで、データ転送の設定を簡単に変更することができます。バリアントを作成しておくことで、一時的な設定変更や再利用が容易になります。
まとめ
バリアントは、プログラムの実行条件を設定した値を管理するオブジェクトです。システムバリアントとアプリケーションバリアントの2つの種類があり、それぞれの特徴や登録方法を理解することが重要です。バリアントの利点と応用例も紹介しました。
バリアントを効果的に活用することで、作業の効率化や再利用性の向上が期待できます。また、適切なバリアント保護を行うことで、誤った設定や不正な変更を防ぐことができます。是非、バリアントを活用して効率的な作業を実現してください。